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小牧市障害者団体連絡会通信 「つながって→ひろげる」
2022年8月 NO.10

●選挙のバリアフリー化 共同代表 山中和彦
今号の特集記事は、「選挙」がテーマです。みなさんは、今年7月10日の参議院選挙の投票に行かれましたか? 新聞記事によると投票率は52%ほど。半分の方が選挙に行っていません。
日本国憲法で資産要件も性別も問わない「成年者による普通選挙を保障する」とされ、今では18歳以上の男女が選挙権を持っていますが、10年ほど前までは、公職選挙法で、重度の知的障害などで成年後見制度を利用した人(成年被後見人)は、受刑者などと並んで選挙権がない欠格者とされていたことを御存知でしょうか。
この規定の合憲性が争われた東京地裁では違憲の判決がでて、2013年5月に公職選挙法が改正されました。どのような重い障害があっても、どのように認知症が重くなったとしても、成年者であれば選挙権はあるということになりました(外国人や受刑者などは除く)。年齢以外の区別はありません。あらためて、参政権は、憲法が保障する大切な人権だということが確認されたのです。
しかしながら、障害のある人は、なお、選挙権を行使する上で、「事実上の制限」を受ける場合があります。今号の特集記事を読んでいただければわかるように、投票所で投票するのにバリアがある人たちがいます。どの人を選べばいいのか、情報収集にバリアがある人たちもいます。
「障害者 選挙」でネット検索をすると、全国各地で、障害のある当事者とその支援者のみなさん、そして自治体が協働して、「選挙のバリアフリー化」に取り組まれていることがわかります。その中の事例のひとつとして、東京都狛江市では、知的障害のある人の体験投票や投票支援DVDの作製、選挙事務に従事する市職員向けの障害者対応マニュアルの作成、わかりやすい演説会・選挙公報づくり、主権者教育にいたるまで、これまでに、感心するほどさまざまな取り組みがなされています。
選挙権が、すべての成年者にあり、人権として保障されているにもかかわらず、障害のある人が、適切に選挙権を行使できないとしたら、社会の側がそのバリアを取り除くよう努力することが求められているのではないでしょうか。知的な障害のある人が、難しくて分からないということであれば、分かりやすい説明を用意し体験もできるようにする、視覚障害・聴覚障害のある人が情報を得にくいのであれば得やすいような環境を整える、そうしたことが求められています。
来年は、身近な市長選、県知事選があります。私たち、障害者団体連絡会でも、選挙のバリアフリー化を、共通の課題としてこれからも考えていきたいと考えています。御意見等、お寄せください。

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●『今回のテーマ 障害のある人の選挙投票』
7月に参議院選挙が行われましたが、障害のある人はどのように投票に参加されているのか、体験やエピソードを尋ねました。 
★視覚障がい者Mさん
 なるべく期日前投票に行きます。投票日当日は混雑する場合があって人にぶつかってしまうことがあるかもしれないという心配があるからと、市役所の投票所に行ったほうが対応できるかも、と思っているからです。
 市役所東庁舎に行くと受付で白杖を見つけて声をかけてくれます。「どのように対応したらよいですか?」というような内容だったと思います。「誘導してください。また代筆をお願いします」と伝えます。今回は、持参のはがきの裏面から代筆をしてもらいました。しかし、そこでいつも気になるのは「なぜ期日前投票に来たか?」の問いの回答の選択肢の中に、上記の理由に当たる項目が見つからないことです。質問の目的はどこにあるのか?と疑問を感じています。
 中に入って、投票したい人の名前を口に出す際は、人に聞かれるのが嫌なので、今回はスマホの中にメモって行き、それを見せて書いてもらいました。係の人は記入すると、間違いなく書き、投票箱に入れていることをもう一人以上の係の人に見てもらっています。
 全盲の方は、点字での投票を希望される人もいるようです。
★視覚障がい者Yさん
 なるべく期日前投票に参加をしますが、どうしても当日しか行けない時もあって、その日がまた天気が悪天候だったりすると投票に行けないことがあります。受付で代筆をお願いするとお二人の方が一緒についてくれます。1名が書いて1名がそれを読み上げて確認してくれます。隣の人に聞かれているかなと思うけど仕方がないですね。        
★聴覚障害者Fさん
 市役所へ期日前投票に行きました。受付で難聴者への対応を尋ねたところ、大きな声で対応をしているとのこと。全く聞こえない人へは筆談の準備もありませんでした。
 コミュニケーションボードがあると良いと思い、小牧市選挙管理委員会へ確認したところ「準備してある」とのことで、投票所の立会人のところにあるコミュニケーションボードを見せてもらいました。A4用紙の大きさで、表がイラスト入りの応答欄、裏が聴覚障害者への対応の説明。内容については「う~ん、これって認知症や失語症向けでは?」と問いましたが、作成時の経緯は不明。どうやら県選挙管理委員会が作り、市へ下りてきたものらしく、選挙も頻繁にあるわけではないので、見直しもなく担当職員が使いこなすところまでは行っていないそうです。そもそもボードが受付ではなく奥まった場所では「配慮してあります」のポーズだけでした。筆談の準備・当事者が理解しやすいコミュニケーションボードで配慮してほしいと思いました。
★障害者施設職員Mさん
・ずいぶん前ですが、重度の障害者のおかあさんが、投票所に連れて行くのが大変なので在宅で投票させたいと相談に行ったけれど難しかったと聞きました。今はどうなのかな?
・知人の働いていた知的障害者の施設では、一緒に選挙公報を読むなどして勉強会をしたことがあるそうです。
★補足として 聞こえる選挙について
 視覚障がい者のMさんから、視覚障がい者向けに選挙公報がまとめられたサイト「聞こえる選挙」があると教えてもらいました。選挙公報の掲載は終了していますが、選挙期間中は選挙公報の情報をテキスト化して掲載し、視覚障がい者が利用しているスクリーンリーダーという読み上げソフトでく聞くことができるようになっていると説明がありました。音声サンプルを聞いてみたところ、あまりの速さにビックリ。多くの視覚障がい者の方たちは、この速さで情報を得ているのだと知り驚きました。
 聞こえる選挙のホームページアドレス https://kikoeru.yahoo.co.jp 

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●団体活動報告
★小牧市難聴・中途失聴者協会
 令和4年度の活動は、ありがたいことに予定通りに実施できています。4月は総会を開催し、5月は市の「出前講座」の中から楽しめるものをと「楽しむ花と茶」を皆で選び、初体験の男性や何年振りかの生け花に挑戦の会員もそれぞれに、個性のある作品が出来上がりました。6月は「要約筆記こまき」サークルの人たちと、初めての交流会をしました。難聴は、見た目は健常者ですがコミュニケーションがうまく取れない障害です。サークル員も頭では理解していても、筆談で気持ちを伝えるのは通訳と違うと体験していただけたと思います。利用者と支援者がより近い距離を保ち、理解し合うことの大切さを互いに感じてもらう良い企画でした。また機会があれば、交流を続けたいです。7月は「遊字・暑中見舞い」。今回は新聞の写真の部分を使って、葉書にカットを入れ、愉快な作品ができました。
 毎回、ほぼ全員参加の定例会です。期待に応える楽しい運営を皆さんとしていきたいと思います。 (古木)
※(写真1)初めて体験した生け花の作品を前に、ニッコリ笑ってピースサインをする男性
※(写真2)個性あぶれる暑中ハガキの数々
★小牧市肢体不自由児者父母の会
 こんにちは。小牧市肢体不自由児者父母の会では、急速に感染者数が増加するなかでとても不安ですが、いつまでも何もせずにはいられない!!と、役員会でも、話をしつつ、どのようにして安全を確保しながら活動をしていくのか、健康な一般の方と比べて、とても心配な我が子達の体調に配慮しつつ、日常を取り戻したいと、頭を悩ませています。なかなか進まないワクチン接種やマスク不要論、本当は何が正解なのか?と、考えさせられる日々です。
 それでも、自分で出来る自衛手段を取りながら以前の日常を取り戻したいと思っています。6月には県の総会も3年ぶりに行えました。
今年は全国大会が9月に愛知県で行われるので、充分に注意しながら、全国の方を安全にお迎えして、楽しく安全に過ごしていただけるように、現在も知恵をしぼっています。
 何事もなく笑って「愛知で良かった」と言ってもらえる大会になるように、がんばります。
※(写真)6月18日(土)に豊川商工会議所で行われた県の総会のようす

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★小牧市おもちゃ図書館きらら
 今年度、小牧市おもちゃ図書館は開設30周年を迎えます。そこで、ボランティアの振り返りや今後の展望についてまとめた記念誌の作成を目標の一つとしました。また活動においては、これまで通り、通信の発行やおもちゃの整理のほか、コロナの感染状況に応じて工夫をしながら遊び企画を行うことを目標とし、新年度の活動をスタートしました。
 6月18日(土)には、貸し出しおもちゃの整理と清掃を実施。アルコール消毒を行いながら、おもちゃの素材や遊びの種類にわけて棚を整理しました。
 遊び企画の1弾としては、7月31日(日)ふれあいセンター大会議室で「遊ぼうDAY」を開催し、3年越しの『夏祭り』となりました。日々感染者が増える中でのギリギリの開催でしたが、子ども12人、大人20人の8家族の参加があり、久しぶりに会う子どもたちの成長ぶりには目を見はりました。広い会場には『輪投げ』『手作りおもちゃ‟パタパタちょうちょ”』『さかなつり』『フライングディスク』の4つの遊びのコーナーを用意。あちこちから子どもたちの歓声が聞こえる、楽しいひと時となりました。
12月にも遊びの企画を計画しています。これからも、親子で安心して気がねなく参加してもらえる遊びの場を提供してきたいと思います。(船橋)
※(写真)夏祭りの会場で、手作りの竿を持って、お菓子の入った魚を釣る子どもたち
★ここばりこまき
 今年度、第1回目の定例会を6月26日に行い、今年度の活動として①自主事業として「発達障害」を学ぶ公開講座を2月に行う、②福祉展に参加する、③団体連絡会として市民活動祭に参加を行うことを確認しました。そして、その前に1月に続き、ここばりスタッフ内での学習会を行うことを決めました。
 7月24日(日)、石川先生によるZOOM学習会を実施。「発達障害者との関わり方」について学びました。「かたより」のみられる発達過程をたどる子どもが幼児期や学童期に専門機関につながることは思っているより少なく、大人になって様々な問題が深刻化しないと受診に結びつきにくいと話されました。また、日本の保育・教育は「みんなといっしょ」「集団生活中心」なので発達障害の子は苦手でどうしていいかわからない。障害特性を知って適切な対応が必要と言われていました。
 ここばりこまきでは、今後公開講座に向けて準備していくことになります。脳の機能障害である 発達障害を正しく知ることで、理解者・応援者が広がるとよいと思います。(御手洗)
※(写真)石川先生による学習会にリモートで参加するメンバー

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★こまき視覚障がい者の会
 新年度の活動は「障がいが障がいでなくなる街づくり」を実現させていくために、「市民の中で、市民と一緒に、市民に見えるかたちで」行うことを目標としました。
4月は歴史ガイドさんと一緒に小牧山へいき、トークはもちろんですが、れきしる資料館で触らせていただける展示物もあり参加者一同大満足のお散歩サロンでした。5月は、ICT支援をはじめiPhoneのエアドロップでリレーを実践、またパソコンでzoomを立ち上げられるよう教えていただきました。28日には小牧市中央図書館にて「見えないってどゆこと?~さわって見よう~」を開催し25人の市民ボランティアの方々と一緒に活動できたことに意義を感じています。6月は当事者に、余り毛糸で機織コースター作りを体験していただき、個性的でとても素敵なコースターが出来上がりました。また、近頃ささやかれている視覚障がいの遺伝子治療について、きちんとした情報を得たいと、岩手大学理工学部、生命コースの富田ひろし教授と菅野恵理子准教授による勉強会の動画を拝見し、最先端の治療法がここまで来ているのかと、驚くとともに陰で労してくださっている方々への感謝を忘れてはいけないと思わされました。7月はiPhone講座を2つに分け、一部は市民に向けて見ないでできるiPhoneを紹介し、二部は当事者のスキルアップを目的とした講座を開催しました。(水谷)
※(写真)小牧市中央図書館で開催した「見えないってどゆこと?~さわって見よう~」の会場入り口に立てられたのぼりの写真。102名の来場者でにぎわいました。
※(画像)フェイスブックのQRコード
★しきの会
 しきの会の夏。それはオリジナルTシャツ作成&販売です。なんと2006年から行っており、実に16年目です!!
これまでの販売累計枚数はざっと2500枚。コンセプトは”唯一無二なイラストをTシャツにして「いいねェ!」とみんなで着たら楽しいよね”でした。長年たずさわる中でいつしかこのしきの会オリジナルデザインTシャツ企画は『誰かを応援する』というチャリティの思いが強くなりました。病気を抱える少女や重度障がい者団体へのエールとして素敵なデザインを形にした年もありました。東日本大震災へ売上金を送った年もありました。多くの方がデザインの経緯を知り、あるいはデザインにほれこみ賛同してくれました。2022年度は3つのデザインを起用しHP上でも購入可能に!さらには起用元の個人様・団体様へ売上枚数分×応援金をしきの会より寄付させていただく『還元型チャリティ』を試みました。常に新しいことにチャレンジです。今年度は300枚ほどの販売実績。皆様ありがとうございました。そしてこれからも『誰かを応援する』をしきの会は拡げていきたいと思います。(関)
※しきの会ホームページのアドレス shikino-kai.com

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●お便りコーナー
★「つながりの中で思うこと・・・」
小さな団体(小牧市障害者団体連絡会)ですが、いつも元気をもらっています。長い間、障害児者や家族、関係者と関わり、いろいろ感じたり、考えたり、迷ったり、悩んだり、そして、いっぱい学んだり、助けてもらったりという経験をしながら仕事や活動をしてきました。60代半ばを過ぎ、コロナ禍やこの暑さetc.に疲れ気味の日々ですが団体連絡会に参加し、新たに出会った視覚障がい者の会や難聴・中途失聴の会等、当事者の方たちのパワーに触れると、憧れというかリスペクトというか「ステキだな」といつも思います。
障害当事者じゃなくても60代で、「腰が痛い」「手がしびれる」「股関節の手術しなきゃ」「現役引退したから文章書く自信がない」・・・と体や認知能力の低下に悩みつつやって来るメンバーが多いのですが、お互いをいたわりながらの活動です。コロナ禍で他団体と交流できないことが残念ですが、いろんな障害の方の話が聞け、いろんな障害に思いが至り、差別のないよりよい社会を目指すメンバーで地道に取り組む活動に仲間が増えるといいなと思っています。(御手洗)
●「お便りを募集しています」
お便りコーナーでは、日々の暮らしの中で感じたことや体験したことなど、みなさんからのお便りをお待ちしています。気軽にお寄せください。
●令和3年度会計報告
【収入】会費 19,000円、助成金 63,000円、寄付 19,000円、収入計 101,000円
【支出】通信印刷代(3回)32,263円、通信発送代(3回)18,700円、サーバー使用料 5,238円、ZOOM使用料 19,625円、事務用品 1,916円、講師謝礼 22,000円、講師お茶代 149円、支払い手数料 330円、支出計  100,221円
【収支差額】 779円
【前年度繰越金】 1,797円
【次年度繰越金】 2,576円
●「会員を募集しています」
 小牧市のさまざまな障害当事者団体、支援者団体がつながって、いろいろな障害のある人の立場を互いに知りあい、共同して市民に向けて発信していくことで、障害のある人も誰もが暮らしやすいまちづくりを進めていくことを目的に活動しています。活動に賛同していただける団体を募集しています。
★正会員(団体のみ 年会費2,000円)、団体賛助会員(年会費1,000円)、個人賛助会員(年会費1,000円)
※賛助会員は、活動への参加は難しいけれど趣旨に賛同し、イベントへの参加や活動の周知等を通じて応援してくださる会員です。議決権はありませんが、イベント等のご案内を差し上げます。申込みは下記メールアドレスへご連絡ください。
★2022年8月現在の会員団体
正会員(7団体)犬山・小牧地域腎友会、ここばりこまき、小牧市おもちゃ図書館きらら、こまき視覚障がい者の会、小牧市肢体不自由児者父母の会、小牧市難聴・中途失聴者協会、しきの会
賛助会員(5団体)小牧市聴覚障害者福祉協会、小牧おひさまクラブ、手話サークルおてだま、手話サークルふたば、 全国障害者問題研究会小牧サークルかざぐるま

●小牧市障害者団体連絡会通信  2022年8月発行
〒485-0811 小牧市光ヶ丘1-1 アクシス光ヶ丘4-403(山中)
メール mail@komaki-sdr.sakura.ne.jp
ホームページ http://komaki-sdr.sakura.ne.jp

視覚障害のある方へ、ホームページに本通信のテキスト版があります。
※(画像)ホームページのQRコード