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小牧市障害者団体連絡会通信 「つながって→ひろげる」
2022年3月 NO.9

●戦争に反対します! 共同代表 山中和彦
私たちが、どれほどの思いで、福祉や権利擁護に携わったとしても、戦争になったらそんなことはあっと言う間に吹っ飛んでしまいます。
私の県庁での初めての仕事は、援護の仕事でした。援護の仕事とは、戦傷病者、戦没者の遺族に対する援護の仕事のことです。1997(平成9)年のことなので、30年近く前のことになります。この援護の仕事を従事したことで、戦争は決してあってはならないものと思うようになりました。当時、戦後50年経っていたのですが、戦死された方の妻たちは、まだご存命のころでした。遺族会の仕事で、戦没者の妻の方にお会いしたとき、夫の遺影を前にして、「あんたはずるい。いつまでも若いままで。私は、こんなにおばあさんになってしまった」とおっしゃったのが、その歳月を思うと切なくて忘れられません。
当時から続く「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金」という制度があります。戦没者の妻やその父母のおられない遺族(子、兄弟姉妹等)に25万円分の国債が支給される制度です。当時の主な仕事は、この特別弔慰金の申請書類をひとつひとつ精査して、支給要件に合致するかを審査することでした。
当然、戦死された方の遺族でなければならないので、戦没者の記録にあたるわけですが、課内におかれたマイクロフィルムに記録がなければ、公文書館にしまわれた古い戸籍をあたりました。かび臭いその部屋に入り膨大な戦没者の戸籍綴りを前にすると、ものすごく気持ちが重くなり、なぜか肩も重くなりました。
私は1957年生まれで、戦争のことは知らないのですが、戦争になれば、みんなで積み上げてきた福祉だの権利擁護だのは、戦車やミサイルの前に霧散してしまうことは容易に想像ができます。ひとりひとりのかけがえのないいのちと人生と生活が、あっという間に危機にさらされます。福祉に携わる者は、憲法第25条の生存権と第13条の幸福追求権は必修だと思っていますが、前文、第9条の平和主義についてもしっかり学ぶ必要があります。一刻も早い和平を望みます。
さて、今号の特集は、「コロナ禍でどんなことに困っていますか」と当事者の声を聞いています。障害によってお困りのようすはさまざまで、当事者ならではの声を聞かせていただきました。
障害の社会モデルの立場からは、障害のある人の生きづらさは、社会の側の努力によって減らしていくことができるはずです。ひとりひとりが抱えている生きづらさを汲み取り、社会を変えていく力にまとめていくことが、私たちの活動の目的でもあります。
障害者団体連絡会に参加していただいている方たちだけでなく、より多くの仲間たちとこのことを話しあいたいので、3月20日に、障害者団体交流会を企画しました。実りある会として、みなさんに報告したいと考えています。

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●『特集 コロナ禍で、どんなことに困っていますか?』
【小牧市難聴・中途失聴者協会】
・ほぼ全員がマスク着用で、口が見られないのは辛い。問いかけられたかどうかも分からない。
・マスク越しの声は、くぐもっていて聞き取りにくい。
・対面の時にマスクを取ってもらえず、すぐに筆談対応に切り替えてもらえない。
・ZOOMで参加できる講演会も増えてきたが、音声のみで、要約筆記や文字変換情報がないので、講演会を聴くことができない。
・トータルコミュニケーション(筆談・ジェスチャー・手話等)が重要であると、再認識をした。
【視覚障害者】
・アルコール消毒の置いてある場所や、説明の看板がどこにあるかわからない。
・同行援護で制限があり、出かけたいところに行けない。
・ソースシャルディスタンスをとるために、誘導や声かけが受けられない。
・同じ障害の人たちとのコミュニケーションが取れない。自分の身近にいないので、孤立しがち。          
【身体障害者】 
・なかなか外出できない。たまには外食したり、買い物に行ったりしてストレス解消したい。
・不安なことは、風邪や熱が出たときに病院に行けるのか?誰に連れて行ってもらえるのか?
・濃厚接触になるとデイサービスに行けなくなり、2週間お風呂には入れなくなる。                                                  
【放課後児童デイサービス】
・出かけられる場所や、できる活動が限られてしまう。子どもたちは活動を通してスタッフと良好な人間関係を築くことで落ち着いた生活を送ろうとすることがあるから活動自粛は残念。 
・マスク着用が難しい子がいる。学校では頑張れても、ここでは家に帰ってきたという気の緩みがあり、約束事が徹底しないことがあり、困る。
・ソーシャルディスタンスがとりにくい。子どもたちは宿題したり遊んだり、それぞれ自由に活動するので、活動場所が密になり注意することが多くなる。
【療育の場の職員】
・子どもが育つ上で、大人がいろいろな表情で関わることやスキンシップ、それらの中での情動交流がとても大切です。マスクだと表情がわかりにくいし、体に触れあって遊ぶ経験が少なくなっているという現実があり心配です。また、療育の中で大切にしている行事などが通常通りできなくなっていますが、なんとか工夫しながら行っている状況です。 
【障害者施設職員】 
・障害の重い人たちの中には体温調節がうまくできなくて、外気温の影響で熱が上がったり冷えすぎたりする方もみえるので、当初はいろいろ混乱しました。  
【当事者の親】                                  
・1月に地域の娘の小学校が学校閉鎖に。そして特別支援学校に通う姉も小学校の閉鎖明けまで休むことを依頼されました。地域の小学校はオンライン授業や課題も通信されましたが、特別支援学校はオンライン化の準備が進んでおらず何もない日々。市立と県立の違いなのか、単純に学校の差異なのか。こどもの所属先でこんなに違うのか!ともんもんとしました。                               
・人工呼吸器装着、医療的ケアが常時必要な重度障害児と暮らしています。2月にその子を省き家族全員がコロナ陽性となり自宅療養に!その際訪問系サービスは止め、すべてのケアを熱も高く息もしんどい陽性者である親が行うしかなく、大変怖い思いをしました。なぜか。それはいつも行く大きな病院が避難入院を受け入れてくれなかったからです。保健所が介入し紹介された先へ行くことになると説明がありましたが、初めて行くような病院へ預けられるわけもなく、とにかくコロナを移さないように祈りながら、乗り切りました。こうした非常時の入院想定、および対策を全くとっていない病院に、不安を覚えました。                
【発達性ディスレクシアの支援者】
・文字を読んだり書いたりすることだけに困難さを示す発達性ディスレクシアの子供達は学校での学習面が問題なため、コロナに関しての困りごとは、他の子供達と同じような事です。ただ、オンライン授業については音声中心で目の前の画面を集中してみることができたり、入力による解答ができたりなどICT機器の恩恵を受けられ返って便利に学習を助けてくれることもあります。発達性ディスレクシアの子供達とICT機器はとても相性が良いといえます。
          
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●団体活動報告
★小牧市おもちゃ図書館きらら
12月9日(日)、きらら恒例のクリスマスピアノコンサートを開催しました。皆で集って遊ぶ企画はずっと中止してきていますが、何とかコンサートだけはできないかと思い、密を防ぐために広い「ふれあいセンター」をお借りしました。家族ごとにレジャーシートに座ってスタンバイしていると、サンタクロース姿のkakeruさんが登場。クリスマスソングメドレーが聴こえてくると、みなピアノに引き込まれていきました。アンパンマン、Niziuの縄跳びダンス、幸せなら手を叩こうで体を動かし、髭男のcrybaby ,プリプリのダイヤモンド・・・・大人も子供も楽しめました。マラカス持参でノリノリの子、大好きなお絵かきをしながら参加してくれた子、がんばって30分座ってられた子、ときどき手の消毒しながらピョンピョン飛び跳ねてた子、着ぐるみで参加してくれた子もいました。「久しぶりに生演奏が聴けて良かった!」お土産はバルーンサンタ。また来年、コンサートが開けますように。
1月15日(土)、なかなかできなかったおもちゃの消毒と整理をしました。まずおもちゃを全部出して棚をアルコール雑巾できれいにしました。一度でも使われたおもちゃはアルコールで拭いて天日干し。次におもちゃの部品が揃っているか、使えそうかを確認し、壊れているものは廃棄処分。後半は、出したおもちゃを収納ケースに入れ直し、きれいになった棚に戻しました。世の中まだまだ不穏な日が続きますが、おもちゃと棚はすっきりしました。(船橋)         
※(写真)広い会場で、家族ごとに座って、kakeruさんのピアノコンサートに耳を傾ける親子連れ
★ここばりこまき
コロナ禍ですが「当事者から学ぶ」シリーズ、「発達障害」の方たちの理解をどう進めるかを考えるために、1月23日、メンバー内で「発達障害の基礎」を学ぶZOOM研修を行いました。
講師は元名古屋市立大学病院の小児科医石川先生で、発達過程の中で、何歳だから何ができる・わかるというところから外れる人に診断をつけて、早く周囲のサポートにつなげることが大切。早く相談してほしいが、医療職の診断でその後どうサポートしたらいいかを教えてくれるところが少なくて残念と言われていました。そして世の中全体が「こうサポートすればいいね」となることを願っているとのことでした。生まれ持ってきた特性を変えることはできないが、環境を変え、本人が経験や学習でスキルを上げることはできるので、早期から個々に合わせた環境調整や指導の工夫、進路選択などの支援が大切ということで、共感できました。

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★こまき視覚障がい者の会
コロナ禍で迎えた今冬も、活動をする上では柔軟性が求められるものだったと思います。11月にはiPhone講座で便利なGoogleレンズの紹介を、12月にはしきの会、声のボランティアかっこうさんと合同でChristmas Special Eventを、1月のiPhone講座ではもっと便利にボイスオーバーを使えるよう個人の用途に合わせて教えていただくなど、ボランティアの皆さんの献身的なご協力によりイベントを開催してきました。これらのイベントではこれまでiPhoneサポーター養成講座で培った知識をみなさんに実践していただく良い機会ともなりました。
そして迎えた2月には、いよいよ小牧駅西から小牧山に向けてシンボルロードに5か所の信号機に高度化PICSが搭載され、視覚障がい者がスマホのアプリで信号機横断補助を受けることが出来るようになりました。また歩行訓練の推進のため、歩行訓練士坂部司先生と永徳さんの対談「歩行訓練 未来塾」(仮称)を動画撮影で行いました。これまで、当事者にも関心が薄かった歩行訓練ですが、IT化が進むこれからの時代だからこそ、機器に頼るだけでは安全歩行を確保できないので、基本に忠実にならなければならないことが熱く語られ、今後数回に分けてSNSなどで発信していく予定です。(水谷) 
※(写真)高度化ピクス設置の話題が取り上げられた、テレビの情報番組の画面
※(画像)フェイスブックのQRコード
★しきの会
2021年11月14日はワクティブこまき1周年記念のイベントとして、しきの会のメンバーによる休みの国楽団の『みんなで奏でる音楽会』を開催しました。久しぶりにお客様の前での演奏となり、改めて音楽のすばらしさや参加者と演奏者が一体となるライブ感に心躍りました。同日開催の『だれでもアート』では、今回クラウンカノンさんがモデルになる回もあり、表情も色彩も豊かなお二人を360度書き手が囲み、様々な角度から思い思いに描きました。皆さんの作品画像をPCに取り込み動画にして会場に映し出し、作品として鑑賞しました。とても面白いと好評をいただきました。
2022年1月8日には小牧市立図書館にて新春イベント「しきの会式福笑い」と「開運おみくじ」を開催しました。接触を避けつつも参加者が楽しめるように会場づくりをどうするか。正月遊び、、福笑い!といえば目隠し。しかし接触となるよね・・ならやめてしまおう!とスタッフ一同知恵を絞り、他にはない面白い”福笑い”が出来上がりました。コロナの時代の中でのイベント開催は基本的な感染対策は徹底のもと、どこをどうしたら・・と工夫を凝らすことから新しい楽しみ方が見つけれたりするのだなぁと発見がある機会となりました。(関)
しきの会ホームページのアドレス shikino-kai.com

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★小牧市難聴・中途失聴者協会
コロナ禍で、マスク着用が必須となり、口の動き(読話)がコミュニケーションの一つの方法なので、口が見えないのは私たちにとって致命傷です。口が動いていれば「何か話してくれているのだろう」と察することができて「もう一度、話してください」とお願いしてきました。今はそれが…できません。すぐに筆談に応じてくださる方も少ないので、マスクを取っての会話は、家族限定になり「お口のリハビリ」もままになりません。 
ZOOMで参加できる講演会もいろいろ行われるようになりましたが、難聴者は「要約筆記」「文字変換」等情報保障が必要で、気楽に参加もできません。早くマスク不要の生活になることを祈るばかりです。
会員には「耳マークをつけて、外出してね」と伝えています。耳マークがもっと周知されるように、PRのチラシ配布が難しい現在、何か他の方法で活動をしなくては…の思いです。
11月に「オンリーワンの手帳を作ろう!」を実施でき、久しぶりの定例会だったので、全員が元気な姿で参加しました。12月には「耳の不自由な方の交流会」も開催できて、新しい難聴者が来室されました。お1人・お2人と、毎年少しずつ会員が増えるのは、本当に嬉しいです。1月は…まん延防止で、また例会ができませんでした。新年会を予定していたので、いつか皆さんで、新年会を楽しみたいと思います。(古木)
※(写真)11月の定例会で作った、個性あふれる手帳
※(画像)耳マークと説明:聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク

●「会員を募集しています」
小牧市のさまざまな障害者当事者団体、支援者団体がつながって、いろいろな障害のある人の立場を互いに知りあい、共同して市民に向けて発信していくことで、障害のある人も誰もが暮らしやすいまちづくりを進めていくことを目的に活動しています。活動に賛同していただける団体を募集しています。
★正会員(団体のみ 年会費2,000円)、団体賛助会員(年会費1,000円)、個人賛助会員(年会費1,000円)
※賛助会員は、活動への参加は難しいけれど趣旨に賛同し、イベントへの参加や活動の周知等を通じて応援してくださる会員です。議決権はありませんが、イベント等のご案内を差し上げます。申込みは下記メールアドレスへご連絡ください。
★2022年3月現在の会員団体
正会員(7団体)犬山・小牧地域腎友会、ここばりこまき、小牧市おもちゃ図書館きらら、こまき視覚障がい者の会、小牧市肢体不自由児者父母の会、小牧市難聴・中途失聴者協会、しきの会
賛助会員(5団体)小牧市聴覚障害者福祉協会、小牧おひさまクラブ、手話サークルおてだま、手話サークルふたば、 全国障害者問題研究会小牧サークルかざぐるま

●小牧市障害者団体連絡会通信  2022年3月発行
〒485-0811 小牧市光ヶ丘1-1 アクシス光ヶ丘4-403(山中)
メール mail@komaki-sdr.sakura.ne.jp
ホームページ http://komaki-sdr.sakura.ne.jp

視覚障害のある方へ、ホームページに本通信のテキスト版があります。
※(画像)ホームページのQRコード